肉食獣パンダがタケを食べた [低栄養状態で生きる動物たちの不思議]

人間が青汁だけ、あるは極端な低栄養状態で生きているという現象を考える手がかりとして、肉食ほ乳類が草食ほ乳類に変化した例を取り上げてみましょう。

それがパンダです。パンダがもともとは肉食だったことは、腸管の構造からほぼ確実とされています。しかし、何らかの原因で、本来の生息地を追われて高緯度地域に移動し(人類の祖先がパンダ本来の生息地に侵入して、パンダを追い出したという説が有力)、そこでタケやササという新たな食料に適応したとされています。
高緯度地域にはエサとなる動物が少ないため、動物以外のものを食物にするしかなかったからです。

しかし、他のほ乳類同様、パンダはタケ(= セルロース)を分解する酵素を持っていないため、以前から「タケを消化することができないのになぜ、タケだけ食べて生きていけるのか」は長らく謎とされてきました。

その謎が解明されたのはここ数年のことです。パンダの消化管内から、他の草食動物の腸管内に生息しているのと同じセルロース分解菌が発見され、タケ食で生きていけるメカニズムが解明されたのです。

ちなみに、パンダの腸管内の細菌のうち、13種は、すでに知られているセルロース分解細菌ですが、7 種はパンダに特有の細菌と報告されているのです。

しかし、本来肉食である動物が、タケのみを食べる生活に簡単に切り替えられるのでしょうか。肉食動物の腸管に、肉食動物とは無縁のセルロース分解菌が、そんなに都合よく住み着いてくれるものでしょうか。

こういうことを考える時、私たちはともすれば「進化とは数万年、数十万年かけて起こるもの。パンダだって数万年かけてタケのみを食べる生活に適応したのだろう」という結論にいきがちです。

人間に追われて高緯度地域に避難したパンダにとって、今日明日、食物にありつけるかどうかは生死を分ける死活問題です。何かを食べて栄養をとらなければ、数日後には確実に餓死するしかないのです。

数万年かけてタケ食に適応すればいい、というのは机上の空論で、獲物を見つけられない肉食パンダにとっては、数日以内にタケを食べて栄養を得なければ死が待っているのです。

しかし、肉しか食べていなかったパンダがタケを食べたところで、それを消化も吸収もでまぬがきず、これまた死を免れることはできません。

https://rumor-info.com/work-suger/
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